開催間近!東京オリンピック2020とキャッシュレス推進の現状

2020年夏に開催予定の東京オリンピックへ向けて、都内では着々と準備が進められている状況です。すでにチケットを入手し、観戦の日を楽しみにしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな国内のキャッシュレス推進の現状について改めて確認し、近い将来の私たちの暮らしについて考えてみましょう。

2020年夏に開催予定の東京オリンピック

来る2020年夏、東京都内でオリンピックが開催予定となっています。世界中から注目される一大イベントは国内での関心も高く、観戦チケットの抽選では多くの落選者を出し一躍話題になりました。今後のさらなる盛り上がりに期待が高まっています。

そんな東京オリンピックでは、国内だけでなく、海外からの外国人観光客の増加が期待されています。海外諸国では、日本と比較してキャッシュレスが普及していることから、日本国内でも同様にキャッシュレス決済への対応が求められるでしょう。

大きな経済効果が期待できるだけに、キャッシュレス非対応による機会損失は避けておきたいもの。東京オリンピックの開催を目前にした、国内のキャッシュレス化の現状について改めて確認しておきましょう。

経済産業省「キャッシュレス・ビジョン」の見解

経済産業省が2018年4月に発表した「キャッシュレス・ビジョン」の資料では、国内のキャッシュレス化推進のビジョンが示されています。2016年現在、日本のキャッシュレス決済比率は20.0%。そんな状況において、2020年に開催予定の東京オリンピックは、キャッシュレス推進の追い風として位置づけられているようです。

先進国のキャッシュレス比率は、すでに40~60%に達しています。これと比較すると、過去数年で徐々にキャッシュレス比率が上昇しているとはいえ、依然として日本は高い数値といえません。この現状に対して、同資料内では2020年の東京オリンピックの時点で80~90%を目指すというビジョンが掲げられています。

目標を実現するにあたり、オリンピック開催地の一部エリアでキャッシュレス決済の整備を行い、「キャッシュレス特区」としてアピールするといったアイデアも出たようです。今後も各種決済サービスの提供会社や、決済サービスの導入店舗などが協力し、国内のキャッシュレス化の発展が期待されています。

経済産業省「キャッシュレス・ビジョン」

オリンピックをキャッシュレス推進につなげたイギリス

過去にオリンピックをキャッシュレス推進につなげたとして、イギリスの事例をご紹介します。

2012年、イギリスでロンドンオリンピックが開催されました。このイベントを契機に、イギリスではキャッシュレス推進の計画が立てられていたようです。

当時のイギリスでは、金融機関の組織であるPayments Councilが主導となり、NFC規格を用いたタッチ決済のネットワークが構築されました。これにより、多くのクレジットカードやデビットカードがタッチ決済に対応するようになったのです。

その後イギリスでは、2025年までに全交通機関の7割でタッチ決済の普及を目指す計画が発表されています。国内で開催されるオリンピックを契機として、多くの方が利用するキャッシュレス手段の利便性が大幅に改善された事例です。

上記の事例のように、2020年の東京オリンピックというまたとない機会が、日本のキャッシュレス化推進の契機となるかもしれません。

一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ 2019」

国内のキャッシュレス化の動向

最後に、2020年の東京オリンピックを目前にした、国内のキャッシュレス化の動向を確認してみましょう。

まず、クレジットカードやデビットカードのタッチ決済対応が進められています。タッチ決済は「非接触決済」とも呼ばれ、機器にカードを触れるだけで支払いが完了するのが特徴です。従来の暗証番号やサインによる決済よりもスピーディーに処理ができます。今後はタッチ決済に対応したカードの普及が見込まれています。

また、これまでキャッシュレス手段の導入や手数料のコストが課題であった個人経営店や小規模事業者では、コード決済の導入が進んでいる状況です。コード決済はほかの決済方法と比べて専用機器の導入や手数料の負担が少なく、入金サイクルが短期であることから、より幅広い店舗で導入されるようになりました。

さらには、給与デジタルマネー払いの解禁へ向けて、取り組みが進められている状況です。ペイロールカード宛てにデジタルマネーで給与を振り込むという、新しい給与支払いの方法が浸透すれば、キャッシュレス化がさらに進むと考えられています。

やや後れをとってきた国内のキャッシュレス化ですが、2020年の東京オリンピックを目前にして着々と準備が進められています。今から数年後には、すでにキャッシュレス決済が普及した未来が待っているかもしれません。

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2020年に開催予定の東京オリンピックへ向けて、キャッシュレス推進の取り組みが行われています。キャッシュレス決済の技術向上や、生活と密接にかかわる給与支払い革命など、国内でも新たな動向がみられている状況です。一大イベントを目前にして、今後のキャッシュレス化の推進に、より期待が高まっています。