デジタルマネーとは?給与支払い電子化の基礎知識

デジタルマネーは、日常生活でも利用シーンが増えつつあります。2019年に“給与支払い改革”が実施されると、生活と密接に関わる給与が電子化される可能性があり、よりキャッシュレス化が推進されると考えられています。

今回は、デジタルマネーの基礎知識をご紹介します。給与支払いの方法が変わる前に、現代に必須ともいえるお金の情報を確認しておきましょう。

ペイロールカードへの給与支払いが解禁間近

企業から従業員へ給与が支払われるとき、大半の企業が銀行口座への振り込みを利用しています。現在、現金の手渡しで給与を支払うケースはそれほど多くありませんが、過去には大半の企業に後者の方法が採用されていました。時流に合わせて給与支払いの方法が変化した結果、徐々に銀行口座への振り込みが浸透したのです。

そして今、ふたたび給与支払いの方法に大きな変化がもたらされようとしています。それは、デジタルマネーによる給与支払いの解禁です。企業が硬貨や紙幣とは異なる形のない貨幣で給与を支払い、「ペイロールカード」と呼ばれる受け皿に送金するという新しい給与支払いの仕組みです。今後、新たな常識として定着するかもしれません。

デジタルマネーによる給与支払いは、2019年には解禁される見込みといわれています。しかし、そんな“給与支払い改革”を目前にして、デジタルマネーについては意外とよく知られていない状況にあります。現金のように目に見える形がないことで、不安を感じている経営者や従業員も多いのではないでしょうか?

ここからは、デジタルマネーの基礎知識をご紹介して、今後の給与支払いの変化を迎えるにあたり必要な情報をお伝えしていきます。

デジタルマネーの種類

デジタルマネーとは、貨幣や硬貨のような実体がなく、電子情報からなる貨幣のことを指します。デジタルマネーにはいくつかの種類があり、とりわけ知名度が高いのは「クレジットカード」でしょう。こちらは、現金後払い形式のデジタルマネーの一種として考えられています。

「プリペイド」と呼ばれる現金前払い形式のデジタルマネーである、「電子マネー」も浸透しつつあります。たとえば、交通系ICカードの「Suica」や「PASMO」は知名度が高く、すでに使用している方も多いのではないでしょうか? 近年では、これらの電子マネーを利用できる店舗が増えつつあります。

ほかにも、銀行口座から即時引き落としが行われる「デビットカード」、スマートフォンから決済を行う「スマートフォン決済」、ビットコインをはじめとした「仮想通貨」なども、デジタルマネーの一種です。このように、すでに国内で利用されているデジタルマネーだけでも、多くの種類があることがわかります。

デジタルマネーの特徴

デジタルマネーと現金の大きな違いとして、ポイントの付与が挙げられます。利用するサービスにもよりますが、デジタルマネーを利用した顧客には、特典としてポイントが付与されます。代表例はクレジットカードのポイントです。貯まったポイントは景品や商品券と交換可能で、カードを使うと得をする仕組みになっています。

また、デジタルマネーを利用した場合には、現金とは異なり自動的に履歴が残ります。目に見える形がないことから不安を抱く方も少なくないようですが、実は確実に利用記録を残せるのは現金よりもデジタルマネーのほうなのです。これに対して、現金は使った記録が残らず、自己管理が必要となります。

万が一、盗難や紛失のような被害に遭った場合も、現金とデジタルマネーではその後にできる対処法が異なります。デジタルマネーの場合はすぐに利用停止などの措置が可能であるのに対して、行方不明の現金は取り戻すのが困難です。実体がないからこそ、セキュリティ面での安全性がより高いという特徴があります。

ペイロールカードの特徴

デジタルマネーによる給与支払いで用いられるペイロールカードは、プリペイドカードの一種です。日本ではまだ利用が解禁されていません。

企業が従業員へ給与を支払うときは、このペイロールカードに入金する形となります。その後は、ほかの前払い方式のデジタルマネーのようなイメージで利用が可能です。店舗やオンラインショッピングなどでの支払いで、ペイロールカードをそのまま使用できるという仕組みになっています。

ただし、一般的なプリペイドカードとペイロールカードは、カードの残高を現金化できるかどうかという違いがあります。ペイロールカードの場合、現金化できることが必須の条件であるため、必要に応じて現金を引き出すことが可能です。一方で、既存のプリペイドカードは基本的に現金化ができません。

アメリカで導入されているペイロールカードには、国際ブランドであるVISAやマスターカードなどの機能が搭載されているものもあります。現金と同様にほとんどの店舗でペイロールカードを利用できるキャッシュレス環境の整備が求められています。

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デジタルマネーには複数の種類があります。どれを使うべきか混乱しがちですが、いずれも電子情報だけで利用できる点では共通しています。将来的にデジタルマネーでの給与支払いが導入される可能性があるため、経営者だけでなく従業員も、デジタルマネーの基礎知識を身につけておきましょう。